血圧は私たちの健康状態を表すものとして知られています。そのため、「高血圧」は身体の健康を阻害するものであるという認識を持っています。今回は、高血圧の方にとって血圧を下げる薬にはどのようなものがあるのか紹介します。
本記事では、血圧を下げる薬の種類や副作用について理解するために、以下の点を中心に解説します。
- 血圧を下げる薬とは
- 血圧を下げる薬の種類
- 血圧を下げる薬の注意点
- 血圧を下げる薬の副作用
- 血圧を下げる薬の入手方法
血圧を下げる薬を服用することで得られるメリットや副作用について正しく理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
血圧を下げる薬について
血圧を下げる薬にはいったいどのようなものがあるのでしょうか?ここでは血圧を下げる薬として、高血圧での薬物療法について、主要となる5種類の薬剤を紹介します。それぞれの薬剤についての特徴や効果については後述します。
高血圧での薬物療法
降圧薬は、高血圧を治療するために用いられる薬であり、血圧を下げる効果があります。
降圧薬には、カルシウム拮抗薬・ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・利尿剤などの種類があり、それぞれ異なった特徴があります。
出典:高血圧の薬・降圧薬にはどういう種類があるの?主要5種類を解説
血圧を下げる薬とは
血圧を下げる薬は、降圧薬と呼ばれ、高血圧治療の一環として使用されます。
降圧薬には、カルシウム拮抗薬・ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・利尿剤などの種類があります。
降圧薬の選択は、患者の年齢や病状に応じて医師が行います。
具体的な血圧を下げる薬の種類
ここからは、高血圧を予防し、改善効果を期待できる薬剤にはどのような種類があるのか、以下に代表的な薬の種類として、以下に9点ご紹介します。それぞれの薬剤の特徴について詳しくみていきましょう。
カルシウム拮抗薬(CCB)
カルシウム拮抗薬(CCB)は、血管の平滑筋にあるカルシウムチャネルの機能を拮抗(阻害)し、血管拡張作用を示す薬剤であり、高血圧や狭心症の治療に使用されます。
カルシウム拮抗薬は、末梢神経とともに、心臓の血管を広げる作用があり、狭心症の治療にも使われるのが特徴です。
カルシウム拮抗薬は、他の薬と併用して処方されることがあります。
ARB
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、血圧を上昇に深く関わる体内物質アンジオテンシンIIの働きを抑えることが可能です。
また、降圧作用などをあらわす薬剤であり、高血圧治療の中心となる薬剤のひとつです。
ARBは、アンジオテンシンⅡ受容体(AT受容体)に結合することでその生理作用を抑制し、血圧を下げる作用があります。
ARBは、ACE阻害薬と同様に高血圧治療に使用されますが、咳の副作用が少ないことが特徴です。
ACE阻害薬
ACE阻害薬は、レニン・アンジオテンシン系(RA系)を抑制することで降圧作用を示す薬剤であり、高血圧治療の中心となる薬剤のひとつです。
ACE阻害薬は、RA系を抑制することで、アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換する酵素であるACEを阻害し、血管収縮を抑制することで降圧作用を示します。
また、ACE阻害薬は、カリクレイン-キニン系を促進させることが原因で、空咳や血管性浮腫の副作用があることが知られています。
利尿剤
利尿剤は、尿の量を増やすことで体内の余分な水分を排出し、血圧を下げる薬剤です。
利尿剤には、ループ利尿剤・チアジド系利尿剤・カリウム保持利尿剤・アルドステロン受容体拮抗薬などがあります。
利尿剤は、高血圧治療の中で重要な役割を果たしており、他の降圧薬と併用されることが多いです。
利尿剤の副作用には、低血圧・脱水・低カリウム血症・尿酸値の上昇などがあります。
利尿剤を使用する場合は、医師の指示に従い、適切に処方を受けることが大切です。
α1遮断薬
α1遮断薬は、交感神経のα1受容体に作用して血管を拡張させ、血圧を下げる薬剤です。
α1遮断薬には、プラザシド、ドキシャシン、プロサルタンなどがあります。
α1遮断薬は、高血圧治療の中で使用されることがありますが、他の降圧薬と併用されることが多いです。
α1遮断薬の副作用には、めまい・頭痛・動悸・低血圧などがあります。
また、α1遮断薬を男性が服用する場合は、勃起不全の副作用があることが知られています。
β遮断薬
β遮断薬は、交感神経のβ受容体に作用して心拍数を抑え、血圧を下げる薬剤です。β遮断薬には、プロプラノロール・メトプロロール・アテノロールなどがあります。
β遮断薬は、高血圧治療の中で使用されることがありますが、他の降圧薬と併用されることが多いです。
β遮断薬の副作用には、めまい・頭痛・動悸・低血圧などがあります。
また、β遮断薬は、気管支喘息や重度の徐脈を持つ患者には禁忌とされています。
中枢性交感神経抑制剤
中枢性交感神経抑制剤は、交感神経の活動を抑える薬剤であり、主に高血圧治療に使用されます。
代表的な中枢性交感神経抑制剤には、メチルドパ、クロニジン、モキシドピンなどがあります。
これらの薬剤は、脳内の交感神経の活動を抑制することで、血圧を下げる効果を期待できるでしょう。
中枢性交感神経抑制剤は、他の降圧薬と併用されることが多く、副作用には、めまいや頭痛・口渇・便秘などがあります。
アルドステロン拮抗薬
アルドステロン拮抗薬は、アルドステロンというホルモンの作用を抑え、血圧を下げる薬剤です。
アルドステロンは、腎臓でナトリウムを再吸収する作用を持ち、その結果、水分も再吸収され、血圧が上昇します。
アルドステロン拮抗薬は、このアルドステロンの作用を抑えることで、ナトリウムの再吸収も抑制し、尿として排出される量を増やす効果がみられます。
また、血圧を下げる効果もあります。
アルドステロン拮抗薬には、スピロノラクトン・エプレレノン・カナレノンなどがあります。
直接的レニン阻害薬
直接的レニン阻害薬は、レニンという酵素の作用を直接的に阻害する薬剤です。
レニンは、腎臓で分泌され、アンジオテンシノーゲンという物質をアンジオテンシンⅠに変換することで、アンジオテンシンⅡを生成します。
アンジオテンシンⅡは、血管収縮やアルドステロンの分泌を促進することで、血圧を上昇させます。
直接的レニン阻害薬は、このレニンの作用を直接的に阻害することで、アンジオテンシンⅡの生成を抑制し、血圧を下げます。
高血圧の人が薬を飲まないとどうなるのか
降圧剤を服用しないと、高血圧が持続し、血管や臓器に損傷が生じるリスクが高まります。心血管疾患や脳卒中などの合併症の発症リスクが増加し、心臓や腎臓に負担がかかります。血管内の血液流れが乱れ、動脈硬化や血栓形成のリスクが高まる可能性もあります。降圧剤の適切な処方と定期的なフォローアップは重要であり、血圧を適正範囲に維持するために必要です。
血圧を下げる薬の注意点
この後は、血圧を下げる薬を服用する際の注意点について、以下の3点について紹介します。
それぞれどのような点に注意すべきか詳しくみていきましょう。
規則正しく服用すること
高血圧を下げる薬を正しく服用するためには、医師の指示に従うことが重要です。薬の種類や量、服用方法について、医師からの指示に従いましょう。
また、薬の副作用についても、医師に相談することが大切です。
薬の副作用が出た場合は、医師に相談し、適切な対処をしましょう。
妊娠中や授乳中の場合
妊娠中や授乳中の場合、血圧を下げる薬の使用については医師と相談する必要があります。
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、妊娠中や授乳中の女性には使用が推奨されていません。
ARBは、胎児の発育に悪影響を与える可能性があるため、妊娠中の女性には使用が避けられています。
また、授乳中の女性には、ARBが母乳中に分泌される可能性があるなど使用が制限されます。
他の薬との併用
血圧を下げる薬であるARBは、他の薬剤との併用によって副作用が増強される可能性があります。
例えば、ARBとサイアザイド系利尿薬を併用すると、高カリウム血症のリスクが高まることがあります。
また、ARBとカルシウム拮抗薬を併用すると、低血圧のリスクが高まることがあるでしょう。
そのため、ARBを使用する際には、他の薬剤との併用について医師に相談する必要があります。
ACE阻害薬との併用については、一部の研究で有害事象が報告されていますが、一般的には併用が許容されています。
このように、血圧を下げる薬を服用する際は、他の薬との併用が可能であるか医師に相談することが大切です。
血圧を下げる薬の副作用
ここでは血圧を下げる薬を服用した際に起こる可能性のある副作用について、以下に4つの副作用の詳細をご紹介します。それぞれどのような副作用の症状が現れるのか詳しくみていきましょう。
動悸
血圧を下げる薬の副作用には、めまい・ふらつき・頭痛・浮腫・高カリウム血症などがあります。
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)には、これらの副作用が報告されています。
また、ACE阻害薬にも副作用があり、咳・動悸・頭痛・めまい・腎機能障害などが報告されています。
ただし、個人差があるため、血圧を下げる薬を使用する際には、副作用について医師に相談することが必要です。
頭痛
ACE阻害薬は、カリクレイン-キニン系を促進することで、ブラジキニンの蓄積を引き起こします。
ブラジキニンは、血管拡張作用を持つため、血圧を下げる効果が期待できる反面、ブラジキニンの蓄積が頭痛を引き起こすことがあるため注意が必要です。
めまい
血圧を下げる薬の副作用には、めまいが報告されています。
また、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)には、めまいが副作用として報告されています。
ACE阻害薬にもめまいが副作用として挙げられるなど、血圧を下げる薬にはめまいの副作用が起こる可能性があることが分かるでしょう。
便秘
血圧を下げる薬の副作用には、便秘が報告されている場合があります。
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)には、便秘が副作用として報告されています。
一方、ACE阻害薬には、便秘が副作用として報告されていないようです。
ただし、個人差があるため、血圧を下げる薬を使用する際には、副作用について医師に相談することが必要です。
また、便秘を防ぐためには、適度な運動や食物繊維の摂取、水分補給などが有効です。
血圧を下げる薬はどこで手に入る?
血圧を下げる薬は、医師の処方箋が必要です。
高血圧治療の中心となる薬には、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡタイプ1受容体拮抗薬(ARB)・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)・利尿薬・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬・β遮断薬・α遮断薬・中枢作用性薬があります。
これらの薬は、医師の診察を受け、処方箋をもらうことで、薬局やドラッグストアで手に入れることが可能です。
血圧を下げる薬に関するよくある質問
ここからは、血圧を下げる薬を使用する際によくある質問と回答を紹介します。
血圧を下げる薬について、多くの方はどのような不安や疑問を抱いているのでしょうか?
以下に3つの質問と回答についてみていきましょう。
急に辞めても大丈夫ですか?
高血圧薬を急にやめることは、推奨されません。
高血圧治療薬は、長期間服用することが前提となっており、急に辞めると血圧が上昇する可能性があります。また、高血圧治療薬には、副作用が出る場合があります。
そのため、血圧を下げる薬をやめる際は、医師による診察と診断を受けることが大切です。
血圧を下げる薬を飲みすぎると?
高血圧薬を飲みすぎると、血圧が低下し、めまいやふらつき、意識障害・倦怠感・頭痛・吐き気・下痢・脱力感・動悸・呼吸困難などの症状が現れる可能性があります。
お薬を飲み始めても血圧が下がりません
高血圧薬を飲み始めても血圧が下がらない場合は、いくつかの原因が考えられます。
まず、薬の種類や用量が適切でない可能性があります。
高血圧治療薬には、CCB・ARB・ACE阻害剤・利尿剤の4種類が第一選択薬とされており、降圧が不十分な場合には、利尿薬を追加することが推奨されています。
また、薬の飲み方やタイミングが適切でない場合もあります。
薬の飲み方については、医師や薬剤師に相談することが重要です。
降圧薬を飲み始めるとやめられないのですか?
降圧剤は高血圧を管理するための薬であり、一時的な服用ではなく継続的に必要な場合があります。血圧が下がったからといって服用をやめると、再び血圧が上昇するリスクがあります。降圧薬は高血圧を完治させるものではなく、生活習慣の改善や原因の改善が重要です。それに加えて薬の使用が必要な場合もあります。服用を中断すると、脳卒中や心疾患などの合併症のリスクが高まることや、突然やめると離脱症候群が起こることもあります。降圧剤の使用については必ず医師と相談し、適切な指示に従いましょう。
薬は血圧を下げたいときだけ飲めばいいの
降圧薬は、医師の指示に従って正しく服用することが非常に重要です。血圧は日々変動するため、一時的に下がったからといって自己判断で服用を中止すると、血圧は再び上昇してしまいます。血圧の上下が続くことで、血管に負担がかかり、傷つきやすくなる可能性があります。その結果、心血管系の合併症や他の健康リスクが高まる可能性があります。もちろん、薬を服用することに不安を感じる患者さんもいるでしょう。薬には副作用のリスクが存在することも理解されています。しかし、現在の医学的な知見に基づくと、降圧薬を用いて血圧を下げることが効果的であると考えられています。
現在までに、薬以外の方法で血圧を下げるための多くの試みがなされてきましたが、これらの方法の効果については確証を得ることが難しい場合があります。生活習慣の改善や食事制限、運動などは、一部の人において血圧の改善に効果を示すことがありますが、全ての人に同じ効果があるわけではありません。したがって、医師の指示に従い降圧薬を活用することが、現在の効果的な治療法として扱われています。
血圧を下げる薬のまとめ
ここまで血圧を下げる薬の種類や正しく服用する方法、また、副作用についてお伝えしてきました。
血圧を下げる薬を使用する際は、正しく服用することが大切です。
血圧を下げる薬についての要点をまとめると以下の通りです。
- 血圧を下げる薬とは、「降圧薬」と呼ばれ、高血圧治療の一環として使用される薬剤を指す
- 血圧を下げる薬の種類には、カルシウム拮抗薬(CCB)・ARB・ACE阻害薬・利尿剤・α1遮断薬・β遮断薬・中枢性交感神経抑制剤・アルドステロン拮抗薬・直接的レニン阻害薬がある
- 血圧を下げる薬の注意点として、規則正しく使用することをはじめ妊娠中や授乳中の服用は医師に相談する
- 血圧を下げる薬の副作用には、動悸や頭痛・めまい・便秘が起こる可能性がある
- 血圧を下げる薬の入手方法として、医師による処方のほか、薬局やドラッグストアで入手が可能
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。