高血圧の基準についてご存知ない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、高血圧の基準について以下の点を中心にご紹介していきます!
- 高血圧の基準値
- 高血圧の基準はどのように変化したのか
- 高血圧の治療方法
高血圧について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
高血圧の基準

高血圧の基準値は、診察室血圧が140/90mmHg以上である場合とされています。
高血圧は、脳心血管病死亡のリスクが有意に増加することが証明されており、予防が重要です。
高血圧治療ガイドライン2019では、起床後1、2時間以内の血圧が高い(135/85mmHgを超える)場合も、高血圧とされています。
血圧は1日の中で大きく変動するため、血圧の日内変動を把握することも重要です。
高血圧基準値の歴史

高血圧基準値の推移
高血圧の基準は、過去数十年にわたって変遷してきました。以下は、日本における高血圧基準の歴史的な変化の概要です。
1987年:旧厚生省の基準 1987年に旧厚生省(現在の厚生労働省)は、高血圧の基準として、収縮期血圧(最高血圧)が180mmHg以上または拡張期血圧(最低血圧)が100mmHg以上という基準を示しました。
2000年:日本高血圧学会の基準 2000年には、日本高血圧学会が新たな基準値を提案しました。この基準では、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上という基準を採用しました。この基準は、国際的なガイドラインとの一致を図るために設定されたものでした。
2004年:高齢者の基準改正 2004年、日本高血圧学会は診断基準を改正し、高齢者の基準を他の年代と同じく140/90mmHg以上に統一しました。これにより、65歳以上の高齢者も同じ基準で高血圧と診断されるようになりました。以前は、70代では150mmHg未満、80代では160mmHg未満という基準が適用されていました。この基準は現在も適用されています。
これらの基準の変化は、高血圧の診断と管理におけるアプローチの進歩と、科学的なエビデンスに基づく医学的な知見の発展を反映しています。基準の改定により、高血圧の診断がより統一され、適切な治療や予防策の提供が可能になりました。ただし、個々の患者の状態やリスクプロファイルに応じて、医師は適切な治療目標を設定する必要があります。
高血圧基準値が変更される理由
1.新たなエビデンスの出現:
高血圧の研究は進化しており、新たな臨床試験や疫学的研究によって得られるエビデンスが基準値の見直しに影響を与えます。これらの研究により、より具体的な血圧目標が設定され、特定の血圧範囲が心血管イベントのリスクを低下させる効果が明らかになることがあります。
2.健康リスクの最小化:
基準値の変更は、高血圧に関連する合併症のリスクを最小化するために行われます。適切な血圧管理が重要であり、より厳格な基準値を設定することで、心血管イベントのリスクをさらに低下させることが期待されます。
3.国際的な統一性:
アメリカやヨーロッパの高血圧ガイドラインは、国際的な権威として広く参照されています。基準値の整合性を保つことで、異なる地域や国での診断や治療アプローチの一貫性が確保されます。また、国際的な共通の基準値は、研究やデータの比較性を向上させ、情報の共有や進歩を促進します。
高血圧基準値が必要な理由

高血圧基準値はなぜ必要なのでしょうか?
健康リスクの評価
高血圧は、心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)や腎臓疾患などの重大な健康リスクと関連していることが、米国の研究で明らかになりました。基準値の設定は、血圧が高いと健康リスクが増加する境界線を明確にするために行われます。これにより、医師や患者が適切な治療や予防策を選択するための目安となります。
治療目標の設定
高血圧基準値は、治療目標を設定する際の指標となります。降圧薬による血圧管理が、脳卒中や心筋梗塞のリスクを低下させることが研究で示されています。基準値を設定することで、患者の血圧が適切な範囲に維持されるようになり、それにより重大な合併症の発症リスクが減少します。
治療のガイドライン
高血圧の基準値は、医療ガイドラインの策定にも影響を与えます。国や地域の医学会や専門家団体は、基準値を考慮しながら、高血圧の診断基準や治療アプローチに関する指針を作成します。これにより、医師が患者に最適な治療法を提供する際の参考となります。
高血圧症の種類

1.本態性高血圧症
本態性高血圧症は、一般的な高血圧の形態であり、約90%の高血圧患者がこのカテゴリーに分類されます。本態性高血圧症は、他の特定の病気や状態によって引き起こされるものではなく、身体の調整機構の異常に起因すると考えられています。遺伝的要因、生活習慣(塩分摂取過多、肥満、運動不足)、加齢などが本態性高血圧症のリスク要因とされています。
2.二次性高血圧症
二次性高血圧症は、他の病気や状態によって引き起こされる高血圧です。本態性高血圧症とは異なり、二次性高血圧症は特定の原因によって生じるため、原因を特定し治療することが重要です。二次性高血圧の原因としては、腎臓疾患、内分泌系の異常(副腎の腫瘍や甲状腺の問題など)、薬物の副作用、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
高血圧が引き起こす健康上のリスク

高血圧は様々な器官に影響を及ぼす可能性があります。
以下で詳しくみていきましょう。
心臓への影響
高血圧は、血管の内壁が傷ついて動脈硬化が引き起こされるとともに、血管に血液を送り込むのにより大きな力が必要となるため、心臓に負担がかかります。
血圧が上昇すると、冠動脈が影響を受けやすく、冠動脈の一部が一時的に閉塞してしまうことで起こるのが狭心症であり、完全に閉塞してしまうのが心筋梗塞となります。
高血圧を放置すると、心臓の壁が厚くなる心肥大や冠動脈心疾患が起こるリスクが高まります。
脳への影響
高血圧は脳卒中の発症率を高め、軽症でも脳卒中にかかる可能性が3.3倍、重症だと8.5倍という高いリスクがあることがわかっています。
他にも高血圧性脳症を引き起こすことが挙げられます。
また、高血圧が続くと血管がもろく破れやすくなり、動脈硬化も起きやすくなります。
その結果、脳に酸素や栄養が十分に供給されず、脳に障害が出ることがあります。
腎臓への影響
高血圧が腎臓に与える影響は、腎臓の機能低下と悪循環、高血圧性腎障害などの合併症です。
腎臓の機能が低下すると、余分な塩分と水分の排泄が十分にできず、血液量が増加し、血圧が上がります。
血圧が上がると、腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環が生じます。
また、高血圧性腎障害は、高血圧によって腎臓にある糸球体などが障害され、老廃物のろ過などができない状態になることです。
高血圧の診断基準

高血圧はどういった基準で診断されるのでしょうか?
以下で詳しくみていきましょう。
診察室血圧
高血圧の診断基準は、診察室で測定した血圧が上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上となる場合です。
この数値を超えると、Ⅰ~Ⅲ度に分類され、140~159/90~99mmHgがⅠ度高血圧、160~179/100~109mmHgがⅡ度高血圧、180/110mmHg以上がⅢ度高血圧となります。
診察室血圧は、家庭で測定する血圧と異なる場合があるため、診察室血圧で高血圧と診断された場合は、家庭での血圧測定も行うことが推奨されます。
家庭血圧
家庭での血圧測定では、診察室血圧よりも低い数値が出ることがあります。
日本高血圧学会のガイドラインでは、家庭で測定した血圧が上の血圧(収縮期血圧)135mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)85mmHg以上の場合に、高血圧と診断されます。
ただし、家庭での血圧測定は正確な測定方法を用いることが重要であり、測定方法によっては正確な数値が得られない場合があるため、正確な測定方法を確認することが必要です。
高血圧の検査方法

高血圧の検査方法には、問診、血圧測定、各種検査があります。
問診
問診は、医師が患者の症状や生活習慣、家族歴などを聞き取ることで、高血圧の原因や合併症を特定するために行われます。
そして、患者がどのような症状を感じているか、食生活や運動習慣、ストレスの有無などを詳しく聞き取ります。
また、家族歴や既往歴、現在服用している薬なども確認します。
これらの情報をもとに、医師は患者の状態を判断し、必要に応じて血圧測定や各種検査を行うことになります。
血圧測定
血圧測定は、医師や看護師が血圧計を使って患者の血圧を測定することで、高血圧の有無や程度を確認するために行われます。
まず上腕部にカフを巻き、その中に空気を入れて圧迫し、その後空気を抜いて血圧を測定する方法が一般的です。
血圧は、収縮期血圧と拡張期血圧の2つの数値で表され、正常値は収縮期血圧が120mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下です。
各種検査
高血圧の検査方法には、血圧測定以外にも様々な検査があります。
例えば、腎臓の機能を調べるための尿検査や、腎臓の画像検査である超音波検査やCT検査、MRI検査があります。
また、心臓の検査として、心電図検査や心エコー検査があります。
これらの検査は、高血圧の原因や合併症を調べるために行われます。
高血圧は、腎臓や心臓などの臓器に悪影響を与えるため、これらの検査を行うことで、早期発見に繋がります。
高血圧治療の目的と方法

ここで高血圧治療の目的と方法についてご紹介します。
合併症の予防が目的
高血圧治療の目的は、高血圧合併症の発症予防や進展抑制を目的としています。
高血圧は、脳、心臓、腎臓、目の網膜などに影響を与え、脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などの合併症を引き起こす可能性があります。
高血圧治療の基本は、食事療法・運動療法であり、それらが十分でなければ、お薬が処方されます。
薬物療法
高血圧には、降圧薬が用いられます。
降圧薬には、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、利尿剤などがあります。
これらの薬は、血圧を下げることで高血圧合併症の発症予防や進行を抑えることが期待できます。
治療には、患者の症状や状態に応じて、複数の薬を併用することもあります。
その際には、医師の指示に従い、正しい用法・用量で服用することが重要です。
非薬物療法
高血圧の非薬物療法には、食事療法・運動療法があります。
食事療法では、塩分の摂取量を減らすことや、カリウムやマグネシウムなどの栄養素を摂取することが推奨されています。
また、運動療法では、有酸素運動や筋力トレーニングなどが効果的です。
これらの療法は、高血圧の治療において重要な役割を果たし、薬物療法と併用することでより効果的な治療が期待できます。
ただし、治療には患者の状態に応じて、医師の指示に従い、正しい方法で行うことが重要です。
高血圧の基準に関するよくある質問

ここでは高血圧の基準に関するよくある質問にお答えします。
血圧は、朝昼夜いつ測定すればいいですか?
血圧を測定するのに最適な時間帯は、毎日同じ時間帯に測定することが推奨されています。
一日のうちで最も安定した状態が保てる時間帯を選び、毎日同じ時間帯に測定することで、長期的なデータを取得できます。
また、血圧は食事や排尿、服薬などによっても影響されるため、朝はこれらの行為をする前、夜は就寝前に測定することが望ましいとされています。
高血圧の基準は、年齢により異なりますか?
高血圧の基準は、年齢によって異なることがあります。
例えば、後期高齢者(75歳以上)は、比較的ゆるい降圧目標になっていますが、忍容性がある場合は、若い人と同じ血圧が目標になります。
また、75歳未満では血圧の正常値の基準はどの年齢層でも同一ですが、75歳以上の高齢者は特例を設けており、基準としては、150/90未満と収縮期が10mmHgだけ寛容になっています。
世界の血圧基準は?
世界の血圧基準は、一般的にWHO(世界保健機関)が定めた基準に従っていますが、WHOが直接血圧基準を定めているわけではありません。
現在の高血圧の基準値は、診察室血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以上とされています。
ただし、降圧目標は年齢や過去にかかった病気、現在かかっている病気によって異なるため、個人の状態に合わせて設定されます。
高血圧の基準のまとめ

ここまで高血圧の基準についてお伝えしてきました。
高血圧の基準ついて要点をまとめると以下の通りです。
- 高血圧は、診察室血圧が140/90mmHg以上である場合とされている
- 2004年、日本高血圧学会は高齢者の基準を他の年代と同じく140/90mmHg以上に統一し、その基準が現在も適用されている
- 高血圧治療には、薬物療法、食事療法、運動療法がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。