交通事故専門外来

交通外傷とその治療、むちうち

 今日本の医療の主流は、病気やけがの予防に重点が置かれています。生活習慣病では、食生活の改善、運動、禁煙の促進など、癌では発ガン物質の排除、健康食品の多様化、早期癌検診などさまざまな試みがなされ一定以上の効果をあげていると思います。交通事故対策も十分になされており交通事故による死亡者数は激減しています。

 ただその一方で、高度なむちうち損傷や腰や背中の損傷が増えたのも事実です。いくら交通に注意していても、追突されたり避けようもなくおきるのが交通事故です。現代の予防医学では、どうしようもない部分があるのが現状です。

 また、このむちうちという病気は、非常に皆に理解されにくく、認知されにくいのが患者さんにとってつらいことなのです。会社では、ずる休みじゃないかと言われたり、保険会社からはガンガン電話がかかってきてこの程度の車の損傷でまだ治らないのですかと言われたり、あげくは病院の先生からも気のせいじゃないですかなんて言われたりしたら身の置き場もないですね。でもこういうケースはほんとに多いんです。

 私は、20年ほど前ロスの高速で友達の運転する車に乗っていて横転寸前の事故に会いそれ以来、首のいたみ、手のシビレに悩まされ続け、天候に左右される症状と付き合っています。大きなヘルニアが3つもあります。このような気持ちで事故にあった方々と一緒に原因を究明し治療に取り組んでいます。失われた治療分野にならないように。

 では、どのような角度からこのむちうちという病態をとらえるか、私なりの考えをお話します。

 まず、いままでに、首の治療を受けたことがあるか、また、首が痛くなったり手がシビレたりしたことがあるか、あるいは、以前に交通事故にあったことがあるかを確認します。

 以前にこれらが何もない方は、事故後でてきた症状を客観的に診察し脊髄の異常かどうかを診断します。レントゲンをとり年齢的なものかどうかを鑑別し、症状が軽くならない場合、MRIをとり脊髄や椎間板の状態を確認します。脊髄の損傷や椎間板の障害やヘルニアがあれば長期化する可能性が高いと思われます。以前に首の治療を受けていた、または現在受けている方は、より症状が重症化し長期化する可能性が高いでしょう。

 その他、めまいや吐き気などをグラフなどで表す装置などで異常を数値化して、科学的に事故で起きた症状を分析し治療を行うことにしています。

                                              院長 松林保智

当院のむちうち外来について

 交通事故後のむちうち、その他の外傷を専門に診る外来です。特徴としては、以下のようなものがあります。

  1. 治療目的は、事故前の状態に回復していただくこと。
  2. むちうちに伴う、多種多様な症状をできるだけ客観的にとらえ、できれば画像や数値で示すこと。
  3. 2の目的のひとつは、周囲の事故の損傷に対する症状の無理解を解消させる意味合いもあります。
  4. 神経の損傷を伴うことが多いので、回復まで時間がかかることが多く、それを理解し時間を共有して治療に取り組むこと。
  5. 場合によっては、後遺症も残る可能性があることを考えながら、積極的に治療に取り組んでいただくこと。
  6. 治療上の経過などは、求めがあれば保険会社などにきちんと説明すること。
  7. あくまで治療以外のこと、例えば金銭的トラブルなどには関与しないこと。

 以上のことに留意し、当院では私が診療させていただきます。予約なし、ただし、お電話で私の外来日を確認のうえ御来院ください。

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