「東洋医学(古典医学)の考え方⑫」
こんにちは。
鍼灸・マッサージ師の関根です。
今回は五臓シリーズの最後、「腎」です。
まずは西洋医学での「腎臓」の働きについてみていきましょう。
◎老廃物や余分な塩分を尿として排泄し、体に必要なものは再吸収している。
◎体内の体液量やイオンバランスの調整を行っている。
◎塩分や水分の排出量を変えることで血圧の調整を行っている。また、血圧を調整するホルモンを分泌している。
◎腎臓から出るホルモンが骨髄に働きかけて血液を作っている。
◎カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDを作り、骨を丈夫にしている。
以上のように「腎臓」は尿を作るだけでなく、血圧や血液、骨にも大きく関わっています。
それでは東洋医学で「腎」は、どのような働きがあると考えられているでしょうか。
◎親から受け継いだ先天の精という体の構成や生命活動を維持するのに最も基本となる物質が「腎」に内蔵されている。(この先天の精は飲食物からつくられる後天の精によって補充され、これらの精によって「気」という生命エネルギーが生まれる。)
◎全身の水分代謝を調節する。
◎骨、歯、髪を丈夫にする。
◎耳の聴覚機能、生殖器、排泄に関わっている。
といった働きがあると考えられています。
ですから「腎」の機能が弱まると、生殖機能異常、尿閉、頻尿などの排泄異常、むくみ、
腰痛、下肢の冷えやだるさ、難聴、耳鳴り、めまい、骨粗鬆症、白髪、脱毛、歯が抜ける
などの症状がでやすくなります。つまり「腎」は生命エネルギーを作り出すのに最も重要
な臓であり、老化現象とも大きく関わってきます。
また、「腎」は寒さや冷えが強まる冬に傷めやすいのも特徴です。「腎」を強くする食材と
して、鶏肉、豚肉、根菜類、黒ゴマ、きくらげ、干し椎茸、海藻類、えびなどがあります。
さらに、体を温める作用がある生姜、にんにく、ねぎ、など(できれば生でなく加熱した
物)を合わせるとさらに効果的です。
寒い冬は無理をせず体を温めてゆっくり静かに過ごし、しっかりと「腎」を養生しまし
ょう。
鍼灸・マッサージ師 関根達也