投稿日時:2009/08/03(月) 12:00
なんでもない日に花を贈ろう
あれは小学校低学年の時だっただろうか、学校から帰って両親にただいまのあいさつをしに行った時のことだ。僕の家は、内科の開業医で両親とも医者であり診察室にあいさつに行くのが習慣となっていた。「ただいま」と言った瞬間暗い雰囲気が漂っていた。両親は看護師さんとしゃべっていたが、内容はおおまかにいうとこんな感じだった。
うちの病院の入り口に花壇があり、母がひまわりやコスモスなどをいっぱい育てていた。それが今朝起きて花に水をあげようとしたら茎の部分から根こそぎもぎ取られていたというのだ。両親も看護師さんたちも「なんてひどいことをする人がいるんでしょう。」と怒っていた。
とっさに僕はこう言った。「もしかしたら、お母さんが重い病気で、花をあげたかった子供が、お金がなくて花を買えなくて僕の家の花を持って帰ったんじゃないかな。お母さんを喜ばせようと思って。」それを聞いてみんなは考え込んだような顔をして何も言わなくなった。
確かに、どんな目的でも人の家の花を持っていくのはよくない。でも僕はその時そういう目的であれば仕方ないと思った。また花は植えればいい。とりあえずお母さんが喜んでくれればいいと思った。

この前、テレビを見ていたらアメリカの街角で花束を持っている男の人がいてレポーターが「誰にあげるの?何の記念日?」と質問しました。その男は振り返り「母親にあげるんだ。記念日?なんか理由がなけりゃ花をあげちゃいけないのかい?」と笑って言いました。