「誤嚥性肺炎」 2021.04

こんにちは、理学療法士の有本です。 月のリハビリコラムでは栄養状態の把握や栄養不良時の食事内容について、お話させて頂きました。食事の際、口の中のモノを飲みこみ、胃に送っていますが、この飲み込み機能が失敗(誤嚥)することがあります。この誤嚥が原因の高齢者の誤嚥性肺炎が注目される印象があります。 しかし、この誤嚥、実は40代位からその兆候が表れているという著書もあり、現在中高年の方も無関係なお話では御座いません。 中高年の方が身近に感じるのは唾の誤嚥に伴うむせ込みでしょうか?誤嚥をしたとしても、むせ込む事で唾や食事を吐き出す事が出来るので、肺炎には至るケースは少ないと思いますが、飲み込み機能の低下が表れている証拠ではないでしょうか。 ご年齢を重ねても好きな食事を美味しく楽しみ、良好な栄養状態を維持する為にも、今月は食事に必要な身体機能についてお伝えしたいと思います。 食事の飲み込み動作とは、喉だけに着目しても複雑な動きをしており、またその喉の機能を十分に発揮するために土台となる、座り方、手の使い方、歯を使ったかみ砕き、食べ物を喉まで運ぶ舌の使い方、喉仏を操作して食道に食べ物を移動するなど、多くの機能が関わります。   そこで座り方について注目して参ります。食事の時、どの様な座り方をしていらっしゃるでしょうか? 改めて確認してみると、背中は丸くなり、食事に向かって頭を前に突き出している人や足を崩している人が意外と多くいらっしゃいます。食事は単純に栄養補給としての行為のみでは無く、ストレス発散であったり、交流の場であったりと目的は多々あり、リラックスするという意味では体幹の力を抜いた安楽姿勢や足を崩したくなるお気持は理解できます。   しかし、舌や喉の飲み込み機能を適切に発揮する事を考えると、姿勢を調整する必要があります。 飲み込み動作をする時は、舌や喉が複雑な動きをするだけではなく、呼吸が一瞬止まります。舌や喉による飲み込み動作を容易にする為には、肩や首の柔軟性を獲得する必要があります。 両足を接地し、背すじを伸ばし、少し腹筋に力が入った体幹の安定性がある座った姿勢は、深い呼吸を行い易くなり、肩や首周りの硬さが減り易くなります。   普段の食事の時の姿勢と、首や腰に御無理がない範囲で、姿勢を正して頂けたらと思います。
mail