「東洋医学(古典医学)の考え方⑩」
こんにちは。
鍼灸・マッサージ師の関根です。
今回は五臓シリーズの「脾」です。
西洋医学でいう脾臓とは働きや性質が違います。と言っても脾臓の働きを知らない方も多いと思います。まずは西洋医学でいう脾臓の働きからお話ししましょう。
脾臓の主な働きとしては古くなった血液を壊して処分することです。それ以外にも全血小板の約3分の1を貯蔵する働きがあります。さらに、リンパ球の産生や血液中の異物の処理など免疫に関する働きもあります。乳幼児期には血球(赤血球、白血球、血小板)の産生も行いますが、大量出血をした時や骨髄の機能が低下した時には成人においても血球産生を行います。
それでは東洋医学での「脾」の働きについて簡単にお話しします。
① 飲食物を消化吸収する作用。「脾」は食べ物から気(生命エネルギー)と血(主に血液)
を作り出します。この働きが弱まると、疲労倦怠感、食欲低下、顔色が青白くなる、胃の膨満感、むくみ、腹痛などの症状が出やすくなる。
② 作り出した気、血(けつ)を上半身に送り出します。(これらのエネルギーは「心」「肺」の働きによって全身にいきわたります。)
内臓下垂を防いでいる。この働きが弱くなると食後眠くなったり下痢や胃下垂などの症状が出やすくなります。
③ 血(けつ)が漏れるのを防ぐ役割。この働きが弱くなると出血しやすくなり、月経過多、皮下出血、血便、血尿、鼻出血などの症状が出やすくなります。
「脾」は乾燥に強く湿気に弱い性質なので、湿度の高い季節は「脾」を傷めやすいのも特徴です。「脾」を元気にする食べ物としては温かいもの、甘いもの(穀物、イモ類、はちみつなど)、豆、しょうが、にんにく、ねぎ、消化のいいものが良いでしょう。反対に冷たいもの、生もの、脂っこいもの、辛い物、甘い物(砂糖など)の食べ過ぎは「脾」を傷めやすいので注意しましょう。