投稿日時:2025/01/24(金) 02:07

令和7年1月24日 2025年
ドクター松林の「待ったなし」

「僕が勉強をしなくなったわけ」 第26回(すべての勉強を続けて行きたい人のために)
「まだら完璧主義者5」
●僕は応接室のレースのテーブルクロスの中で息をひそめていた。そこに母が来て何かガチャン とお皿のようなものを置き、「お待たせして申し訳ありません。これをお召し上がりください」 と言って出て行った。テーブルの下の僕は先生が多分フォークで食べる金属音と感触でお皿の 上のものがわかった。イチゴのショートケーキだ。さっき冷蔵庫にあるのを見つけた。ウーン お腹がすいたよー、食べたい。でもあと20分も我慢すれば今日はピアノレッスンがなしになる。 と思ったが、僕のお腹が「グルグルグー」と鳴ってしまった。  
●いきなりテーブルクロスがめくられて、先生が笑顔で「なんだヤストモ君こんなところにいたの。早く出てきてケーキを食べなさい」と言って僕はバツが悪そうに外に出てソファーに座った。「そ うねお母さんに言わなきゃね」とおもむろに応接室のドアを開け「すいませーん、ヤストモ君 いました、テーブルの下に」と大声で言った。母親がすぐに階段を上がってきて「あらどこに いたの、テーブルの下に、まあ気づかなかったわ」と言って家庭教師の先生と大笑いしていた。
●僕はしこたま怒られると思っていたので、やや拍子抜けした。なんて優しいんだろう、うちの お母さんはと強く心に刻まれる出来事にもなった。そうしたら家庭教師の女性の先生が「じゃあ 今日はね、あと20分しかないしケーキも食べたいでしょ。先生が一曲弾いてあげる。それ聞き終わったら終わりにしよ」と言ってくれた。僕は今でもその先生のことが大好きだ。その時に弾いてくれた曲は、一生心に残ることになる、ベートーヴェンの「月光」だった。それはそれはなんと素晴らしい20分間であったことだろうか。

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