投稿日時:2022/09/02(金) 03:09

令和4年9月2日 2022年
ドクター松林の「待ったなし」

「東京の街を彷徨う」   
―なんと麗しき愛しき人よーその14

●由美さんは頬杖をつきながら、ケー坊のことをずっと見つめていた。よほど可愛いのだろう。確かにケー坊は僕と違って東京生まれ東京育ちで広島に引っ越してきた。由美さんとも小さいころから面識がありそうだし、なんといっても東京弁と標準語が操れる。田舎者にとっては「だからさー」というようなことば回しは照れくさくてとても言えないのである。まあケー坊は服装もしゃれているし、いわゆるシティーボーイといった感じである。垢抜けているのだ。 
●唐突にケー坊が「あーのー彼と一緒に登りました」と言って僕を指さした時には、脳天が天井に着くかと思われるくらい驚いて緊張した。すると由美さんは僕のほうをチッラと見てにこやかに「あー一緒に登ったのね」とつぶやいた。何と言っていいかわからないままに「はい」とだけしか言えない自分がいた。次に何かもっと気の利いたことを言おうとしたが思い浮かばなかった。とにかくドキドキしていた。いや、でも映画の主人公も大人の女性に声をかけられて緊張のあまり声が震えていたではないかと自分をなぐさめてみた。
●確かに「はい」だけなら広島弁はわからない。だから方言が出にくいセンテンスを考えた。例えば「楽しかったです」「また行きたいです」「最高でした」とか、そうだ次に何か聞かれたらそう答えようと待っていたのだが、彼女はまたケー坊のほうに向きなおり「白いポロシャツよく似合うわね」と微笑みながら言った。そこには「愛はきらめきの中へ」の曲に包まれた久我山があった。   

コロナ第7波はピークを越したかもしれませんが、でも他の病気やけがはいっぱいあります。ここで気を引き締めて健康、身体に留意していきましょう。
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