投稿日時:2022/05/06(金) 06:03

令和4年5月6日 2022年
ドクター松林の「待ったなし」

「東京の街を彷徨う」   
―なんと麗しき愛しき人よーその7

●その黒い髪の乙女が店に入ってくると、店内がパーッと明るくなった。麗しい薔薇の香りは高貴な雰囲気を醸し出していた。そして何よりも心底感じるようなオーラがあった。まぎれもない美女である。今日お茶の水や高田馬場ですれ違った美しい女性の中でも群を抜いていた。いやレベルが違っていた。  
●僕のすぐ横のカウンターに座った彼女に対してマスターが「由美ちゃん、今日は何を飲む?」と聞くと、彼女「そうねー、今日は何か蒸し暑いからマンハッタンにするわ」と答えた。なんだ彼女もここの常連なんだ。でもだからといって僕にいいことが起こるわけでもないのだが。確かに蒸し暑い晩であった。クーラーが効いてはいるものの汗が体に張り付いているようなそんな感覚である。でも高校2年の僕が驚いたことは、広島では考えられないそんな展開であった。夕刻美女が一人でレストランを訪れてカクテルを 頼むようなロマンティックな情景が新鮮であった。  
●僕はその美しい女性のことが気になって仕方がなかった。そんな彼女が僕のすぐ横のカウンターに腰かけて、となりのちょび髭の男性と話していた。「あら光村さん久しぶりじゃない」男性「いやね、いいカメラアングルを探しに佐渡島の方まで行っていたんでね。由美ちゃん元気だった?」「そうね、でもあんまりいいこともないな」と言ってにっこりと微笑んだ。そんな会話の中でマスターはカクテルをシェイクしていた。なんとドラマチックなんだ東京は。  

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