投稿日時:2021/11/05(金) 04:00

令和3年11月5日 2021年
ドクター松林の「待ったなし」

「東京の街を彷徨う」  
その4   
―恐怖の回転ずし屋ー

●お茶の水の雑踏にまみれて、私は一番すいてそうな回転ずしの暖簾をくぐった。ほぼ円形のベルトコンベヤーの周りに椅子があり全部で20席くらいあっただろうか、威勢の良いいらっしゃいという言葉とともにそのうちのひと席に通された。左に学生さんらしき男性、右には3、4人のサラリーマン風の男性たち。左斜め前に老人の夫婦、その右隣が高島田風に髪を結っている60代の女性といった感じであった。  
●ベルトコンベヤーはほとんど時計回りらしい。やはりこの店も右回りだった。これには理由がある。右利きが多いので、右から回ってくる寿司を見て取るかどうかを決めて左手で取るまでの時間が稼げるからだ。もしこれが左回りだと、皿が来て取ろうとしたときに箸を持つ右手で取るため、箸をいちいち置かなければならない。こういったやっかいさを解消するためだ。  
●私は晴れの回転ずしデビューに何から食べようか迷っていた。やはり王道のマグロかいやここは白身か、いやいや基本はアナゴだろう、しかし青魚も捨てがたい。10種類くらいのネタが回っている。その円の中で職人さんが休む暇なく握っている。握っても握ってもすぐになくなっていく。そして皆のテーブルの横に皿が積まれていくわけだ。これは食の革命だと思った。なんせ一言もしゃべらずに寿司にありつけるわけである。広島弁しかしゃべれない私にとってはこんな素晴らしい発明はないと思った。東京って住んでみたいーと高校生の私は思った。  

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