「野球選手のトレーニング」 2020.03

こんにちは。理学療法士の澤木です。今回も前回と同様に野球選手のトレーニングについてお話しいたします。今回はプライオメトリクストレーニングについてです。

 

 プライオメトリクストレーニングはどのようなトレーニングかというと、通常の筋収縮によって力を発揮するだけでなく、より素早く力強く力を発揮し身体を動かすトレーニングです。簡単な例ですと飛んだり跳ねたりするトレーニングのような筋肉を伸ばしたり縮めたりして行うトレーニングです。

 私たちの身体にある筋肉はいろいろな運動において伸びたり縮んだりしますが、力を発揮する時は基本的には筋肉が縮む時です。通常ですとこの縮む動作に重りを持ったりして負荷を与えより多くの力を発揮するできるように筋肉を鍛えますが、筋肉を鍛える、筋肉を大きくするだけでなく、筋肉を縮める時に素早く筋発揮できるようにするために重要なポイントがあります。それは筋肉を縮める前に一度筋肉を伸ばすことです。例えば、直立姿勢からジャンプする時、一度膝や股関節を曲げしゃがみますよね?そのしゃがむ動作で股関節の筋肉や膝の筋肉が伸びます。これを行うことで筋肉は強い力を出して縮むことができるようになります。この現象をストレッチショートニングサイクル(以下SSC)と言います。難しい生理現象は割愛しますが、この現象はより速くより強く行うことで、より速く強く筋肉が収縮するので大きな力を発揮することが可能となります。この現象をうまく使ってスポーツ動作に転換することを目的として行うのがプライオメトリクストレーニングです。

 

 野球選手に行うトレーニング例を挙げてみますと、野球選手によくやるのが高い段差へのジャンプです。高い段差へジャンプするという目的を達するために、ジャンプするために使う筋肉を素早く伸ばしてからジャンプする練習を行います。なるべく高い段差に飛び乗るためにSSCをしっかり使ってジャンプするというトレーニングです。最初はなかなか高い段差へ飛び乗るのは大変ですが、SSCをしっかり使えるように段差から飛び降りてからジャンプするトレーニングや比較的中程度の段差を連続して飛び乗ったり、降りたりするトレーニングなどを行うと、SSCをうまく使えるようになり高い段差へのジャンプ動作が向上します。ただ野球選手は高くジャンプすることが必要かといえばそれほど必要ではありませんが、このSSCを使ってジャンプすることは全身、特に下肢の筋肉を素早く力強く使えるようになり、ピッチングやバッテイングに生かされます。前回もお話ししたかもしれませんが、野球は短時間に力を出しプレイすることが多いスポーツです。いかに素早く強く筋肉を収縮させて力を発揮するかが大切になります。プライオメトリクストレーニング、シーズンも近くなってきた今時期にやってみるのもいいかなと思います。ただ、トレーニングの強度としては比較的強い部類に入るものですので、量の調整はしっかり行ってからやるようにしましょう。

澤木 弘之