現代の鍼灸について 2016.11

 日本の医学は大きく分けると西洋医学(近代医学)と東洋医学(伝統医学)の2つに分けられると思います。西洋医学は古代ギリシャを発祥とし、東洋医学は西アジアからインド、東南アジア、中国などの広いアジアの地域の医療を指します。このうち中国医学、アーユルヴェーダ医学、ユナニ医学は3大伝統医学と言われていますが、日本では、漢方や中国医学(鍼灸など)を指して東洋医学と呼ばれています。

 西洋医学は血液検査や画像診断などで科学的に、かつ局所の変化を細かく分析して診断していきます。それに対して東洋医学は身体全体の状態を捉えて全体の調整をしていくことで、局所の病態を改善していくと言えるでしょう。

 身体全体を診るのにいろいろな情報が必要になりますので正確に状態を捉えるのは簡単なことではありません。例えば皮膚の状態(色、艶、張りなど)、舌の状態、脈の状態、お腹の状態、食事の好みや便通などなど。中でも特に技量が必要なのが脈診(脈の状態を診る)でしょうか。(もちろん西洋医学で行われている徒手検査も必要に応じて行います。)このような方法で得た情報をもとに身体の状態を判断し治療をします。

 日本での鍼灸治療はこのような東洋医学的な治療理論のもとに行う治療と西洋医学的な治療理論のもとに行う治療とがあります。西洋医学的な治療は西洋医学的な診断のもと次のような効果を狙って行います。

  1. 硬くなった筋肉に直接刺して緩める。
  2. 体性ー自律神経反射(体表に鍼などで刺激し、自律神経系に影響を与える)
  3. 鍼刺激が中枢神経系において内因性モルヒネであるエンドルフィン、ダイノルフィンなどを増やす。

 どちらかの治療理論を否定的に考える先生もおられますが、私個人的には東洋医学的な鍼治療も西洋医学的な鍼治療もどちらがより優れているということはないと考えています。患者様が良くなればどちらでもいいのです。身体の状態や治療による反応は患者様によって違うわけですから。

関根達也