私の在宅医療(往診)のルーツ

その1

● 私の在宅医療の原点は大正後期から昭和初期にまでさかのぼります。私の祖父である松林保太郎は大正後期より広島市内で開業しておりました。その当時から祖父は何百件もの往診をしており、あまりにも往診の件数が多いため運転手を雇わなければならなかったそうです。しかし当時は現在のような国民皆保険が整っていたわけではなく、貧しい人々は十分な医療を受けられなかったそうです。
●しかし祖父保太郎は病気を治すことが第一と考え、貧しい人々からは往診の代金を受け取らなかったそうです。「いいんですよ。病気を治すことが一番だから。お金は頂かなくても。」と言って黙々と往診を続けたそうです。本当にお金のない人たちは、採れたての野菜や新鮮な魚を持ってきてくれることもあったそうです。
●こうして往診は大正ロマンから昭和の大恐慌、戦前、戦中、原爆投下後の荒涼とした中も続けられたそうです。そしてこのことがそれから60年以上もたってから私の心に衝撃となる事件を引き起こしました。