男と女(遺伝子レベルからみた待ちぼうけ)

 昔アダモの「雪は降る、あなたは来ない」から始まる歌があったが、待っていても愛する人が来ない切ない気持ちになる歌詞だった。
 男も女も他の遺伝子(染色体)を求めている。だから待ち合わせをして、「会いたい」という感情を募らせる。なかなか来ないときは、「どうしたんだろう、事故にでもあったのかな」とか「ふられたのかも」とか「待ち合わせの場所を間違えたかな」と思いを巡らせる。寒い冬、待てども暮らせども来ない、そして冷たい雨が降ってきて、でもあと10分待とう、そうこうしていると1~2時間経ってだんだん店も閉まってくる。寂しくて切ない気持ちが胸いっぱいに充満して、それでも彼(彼女)は来ない。こんな経験、一度はあるでしょう。但し、携帯が普及する前の世代の人だけですが。これが「待ちぼうけ」です。
 彼(彼女)は結局来ない、そして眠れない夜、いつ連絡が取れるかわからない切なさ。こんな感情は、逆に会えた時の喜びをいっそう高めてくれるわけです。でも携帯の普及によってこの風情ある感情は世の中からすっかりなくなってしまいました。便利にはなったけれど携帯世代には、たぶんこの話は全くわからないでしょう。
 今なら電波の届かないところなど日本中ほとんどないし、ほんの少し待ち合わせに遅れようものなら、電話、メールがガンガン来る。なんで遅れたのか怒られたり、問い詰められたりで、会いたい気持ちもお互い吹っ飛んでしまう。いずれ「待ちぼうけ」という言葉は古典語になる日も近い。そして遺伝子的には、この感情の欠如によって互いに求める気持ちが薄らぎ、日本の結婚率や出生率の低下につながっているのではないかと思う。